住宅の打ち合わせをする時にきまって相談することがいくつかあります。その中の一つがトイレの窓。
窓をつける目的は、
- 換気のため
- 明かり取りのため
- 閉塞感を避けるため など
窓をつけない理由は、
- 外の気配が落ち着かないから
- 窓掃除の手間が増えるから
- 暑さ寒さの影響がない方がよいから
- 外観でトイレの窓っぽさを出したくないから など
私がこれまでに設計した住宅では、窓を付けた家の方が多く60%ほど、戸建てに限ると80%です。有無の判断は建主さんのご要望以外に周辺環境にもよりますし、予算が足りない場合に優先順位が低いという理由でトイレの窓をやめてしまうこともあります。賃貸住宅の場合は窓を付けないことの方が圧倒的に多いです。これはトイレの位置が外壁に面していない場合や予算の関係が大きいと思います。ちなみに私自身の住居を考えると、家族と住んでいたマンションはトイレに窓がありましたが、明かりはあまり入らず、換気扇があるので窓を開けたことはありませんでした。一人暮らしになってからのアパートは窓がないことの方が多かったと思います。個人的には窓がない方が落ち着きますし、掃除の手間がないので有り難いです。
トイレについて建築基準法には次のように定められています。
「便所には、採光及び換気のため直接外気に接する窓を設けなければならない。 ただし、水洗便所で、これに代わる設備をした場合においては、この限りでない。」
住宅に限らず、築年数の古い建物や用途、使用頻度によって換気扇が無い窓のみのトイレもあります。最近の建物は照明も換気扇も当たり前のように付けますので窓は必須ではありません。トイレに窓がある家で長く暮らしていると窓がないなんてあり得ないと言われると思いますが、トイレに窓がないマンションで生まれ育ったら必要性を感じないかもしれません。
家について考える時に先入観を持たないように心がけていますが、建主さんもこれまでの家を思い返して、窓についてあらためて考えてみるよい機会だと思っています。今まであたり前だったものを変えて始める新しい生活はドキドキもワクワクもしますね。