土でつくられた円形のエントランスと木のガラスカーテンウォールが目を引きます
昨年から設計協力をしていたOYAKI FARM by IROHADOが長野市篠ノ井に完成しました。信州の伝統食「おやき」の老舗「いろは堂」の新工場と直売店・カフェです。設計は遠野未来建築事務所の遠野未来さん。私は確認申請から実施設計、着工後の施工図確認までご協力させていただきました。
OYAKI FARMは約1600m2の木造2階建て、45分準耐火建築物です。遠野さんは自然素材を使い「土から生まれ大地に還る」建築を目指して計画されました。構造体や窓枠には長野県産の杉やヒノキを使い、エントランスは建設残土を利用した版築壁で造られています。通常は捨場に運ばれる建設残土を建築に使用するという考えにわたしは感服しました。版築壁は高さ5.2ｍ、重量約60トン、現場の土と粘土・消石灰・白セメントを混ぜて2ヶ月掛けて手で突き固めたとのこと。木組みの大空間と版築壁のエントランスは体感する価値があると思います。
これだけ大きな木造建築に携わることは滅多にないので、このような機会をいただけたことにとても感謝しています。建築法規の制限や工場に必要な様々な条件の中で、コンセプトを維持して実現するために関係者と何度も打合せを重ねて図面を描き、ひとつひとつ解決していきました。わたしは建築中に現地へ行く機会がなかったので、竣工レセプションで初めてきれいに完成した建物を見て感無量でした。一般客は入れない工場エリアも案内していただき、自分が描いた図面がどのように実現されているのか確認する良い機会となりました。この経験をこれからの建築人生に活かしていきたいと思っています。
屋外の公衆トイレもまるい形となだらかな傾斜の屋根 内部は木と自然の光で落ち着く空間になっていますよ。
あずま屋でおやき用にブレンドされたコーヒーをいただきました。
近くには観光スポットもあり、ちょっとした休憩やお土産選びにオススメです。ぜひ、できたての美味しい「おやき」を味わいに来てくださいね！